【ウガンダ3回目渡航報告】トウモロコシでスキーポンの効果を確認
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2024年12月2日〜9日、東アフリカの内陸国・ウガンダ共和国に金CEOとメンバーが滞在しました。目的は、スキーポンをウガンダで製品化し、販売できるようにすること。
3回目となる今回の滞在では、試験圃場やケニアとの国境に近いカラモジャ地方の干ばつ地域を中心に回り、進行中の製品登録試験を確認したり、国立研究機関の研究者や農家の方々にスキーポンについて説明したりしてきました。その様子をお伝えします。
ウガンダは、人口の8割が農業に従事し、農作物の輸出国としても知られています。一方、気候変動で高温や干ばつが顕在化し、作物の収量に影響が出ているほか、人口増加を背景に周辺国での食糧需要も高まっています。
製品登録試験の概要と進捗
2025年6月の製品登録承認を目指し、2024年6月からスキーポンの製品登録試験がウガンダ国立農業研究機構(NARO)の複数の関連施設の圃場で進められています。試験はトマトとトウモロコシを対象に、2回のサイクルに分けて実施される予定で、トマトはすでに1回目の試験を終え、よい結果が出ました。現在、2回目の試験が始まっています。
トウモロコシの試験は、1回目の試験が年内に収穫を終え、現在データを集計しています。すでに目視の段階で、担当研究者から「目に見えて、大きな効果が出ていることがわかった」と連絡をいただいています。2回目の試験はすでに11月に種まきを終えており、今年3月中に収穫し、4月中にはデータが出そろう予定です。
12月初旬の現地調査では、Serere(セレレ)地区で実施されている1回目、2回目のトウモロコシの試験経過を金CEOらが視察し、スキーポンを施用した区画の作物の生育状態がいいことを確認できました。
スキーポンを施用していない区画のトウモロコシは、先端部の実が詰まっていないものが大半でした=下写真右側。これは高温による受粉障害の影響を受けているためです。対して、スキーポンを施用した区画では先端部分まで実がしっかりと実っていることが確認できました=下写真左側。これはスキーポンの施用で、高温への耐性がついていたためと考えられます。
スキーポンを施用した区画(左側の写真)と通常栽培の区画(右側写真2枚)の比較。スキーポンを施用していない区画のトウモロコシは、先端部の実が詰まっていない。
カラモジャの農家と研究機関を訪問
乾燥・高温が問題となっているウガンダ北東部のカラモジャ地域の農家に伺い、話を聞くことができました。この農家では、200haほどの農地でソルガム、トマト、ホウレンソウ、ナス、キャベツ、ニンジンなどを栽培しています=下写真。
こちらは、100人程度の作業者を雇っている大規模農家で、一握りの裕福な野菜圃場にあたるため、同地域ではとても珍しい灌漑施設も導入していました。一般的には、この地域では3〜6カ月乾季が続くため、その間は野菜を栽培することは難しいのが現状だそうです。こうした背景から、野菜などの作物栽培ではなく、酪農がほぼ唯一の収入源となっており、牛糞などを有機肥料として野菜栽培に転用しているそうです。
今回は、こちらの農家の協力を得て、ホウレンソウやニンジン、トマト、ブロッコリーにスキーポンを施用し、スキーポンの効果を検証することになりました。最近農家から入った連絡によると、「施用している区画の作物のほうが生育がいい」そうです。乾季の作物栽培でも効果が得られているようです。
また、カラモジャでは、NAROの関連機関である「Nabuin ZARDI」にも訪問し、担当研究者にスキーポンの解説と意見交換をしました=下写真。最近は、乾燥で作物の生育が悪くなり、牛の餌となる牧草栽培にも影響が出ているということで、スキーポンを牧草に使えることができたら、というお話を伺いました。
※この事業は、独立行政法人国際協力機構(JICA)の 「中小企業・SDGsビジネス支援事業」に「ウガンダ国干ばつでの植物生育を促進するバイオスティミュラントにかかるビジネス化実証事業」(2025年6月契約終了)が採択されたのを受けて、当社が実施している事業です。