【社員インタビュー⑧】農業・化学系の多種多様な組織を経験。これまでの知見をスキーポン開発に生かす

本記事では、総合化学メーカー大手や農業法人、ベンチャー企業などを経てアクプランタに入社した、長島のぞみ(ながしま・のぞみ)を紹介します。
農業・化学畑での幅広い実務経験を経て、アクプランタやスキーポンに興味を持った理由や、入社して感じた印象や今後の抱負などを聞きました。記事を通して、長島の人となりや、アクプランタをさらに知っていただければ嬉しいです。
アクプランタとは?
社長の金が、理化学研究所の研究員時代に発見した研究成果をもとに、植物の乾燥・高温耐性を強化するバイオスティミュラント資材*1『Skeepon(スキーポン)シリーズ』を開発・販売している会社です。
プロフィール
東京大学農学部農芸化学科に進学し、卒論・大学院ともに植物ホルモンを研究対象としている農薬学研究室(現:生物制御化学研究室)に所属。農学系研究科修士課程を修了。1992年に総合化学メーカーに就職。ヘアケア研究所に配属され、ヘアカラー等の商品開発研究に携わる。2004年から化学品研究所農林Gへ異動し、植物活力剤や除草剤の技術向上検討に参画。2009年以降は同研究所内で生分解性樹脂や樹脂改質剤の知財業務担当等の研究業務支援を担当し、2016年に早期定年退職。建設会社が新規に立ち上げた農業系子会社に入社し、2022年まで水耕栽培装置の開発・特許取得やそれを用いたバジル等の栽培技術検討を担当。その後、農業法人や農業資材ベンチャーを経て、2025年にアクプランタに入社。
開発初期から関わり、たくさんの経験をくれたヘアカラー製品
―――これまでどのようなキャリアを歩んでこられたのですか?
東京大学農学部から同大学の大学院に進み、農学研究科で植物ホルモン(ジベレリン)を研究していました。卒業後は、総合化学メーカー大手に研究職として入社し、ヘアケア研究所でヘアカラーの商品開発研究を12年ほど担当していました。
その後、社内で農業資材の研究部署に異動を希望し、そこで植物活力剤の開発プロジェクトや除草剤の効果増強の研究プロジェクトなど、4年ほど働きました。農業関連の分野への異動を願い出た理由は、学生時代から温めていた、砂漠化や塩害、人口増加という状況下での食糧確保の課題に応えたいという思いが高まったからでした。
その後、研究所内の知的財産関連の部署に異動し、生分解性プラスチックなどの製品素材の知的財産を6年ほど担当した後、社内で様々ある研究現場の担当者をつなげ、情報共有や共同研究の可能性を探る部署でも2年ほど働きました。
前職の農業法人にて。縦型栽培装置を搭載した小型栽培設備
―――入社から約25年経ったときに、転機があったと聞きました。
そうですね。50歳を前に、早期退職制度に手を挙げ、建設会社の子会社である農業法人に転職しました。農業資材の研究部署を離れた後も、農業関係の研究をもっと続けたいという気持ちを持ち続けていたのが大きな理由です。
この会社では、縦型の水耕栽培装置と小型温室を独自に開発し、場所をとらずに効率よく作物を育てる新しい都市型農業の手法として提案していました。そこで、装置の特許取得や農業現場で実用化する仕事を6年ほどした後、別の農業法人や農業資材ベンチャーなどを経て、アクプランタを紹介してもらったことをきっかけに、入社を決めました。
―――入社前のアクプランタや、スキーポンに対する印象はどうでしたか。
「スキーポン」という資材が植物の高温耐性・乾燥耐性のどちらも強化する効果があるという点に、まず関心を持ちました。
通常の植物で体内から水分を放出する「蒸散」という仕組みが働くと、植物体内の温度は下がります。つまり、高温への対策をすると植物体内では乾燥が進んでしまうはずです。逆に、水分放出が抑制されれば、乾燥防止には良いけれど熱を逃がしにくくなるため、植物体内は高温になってしまうはずなのです。要は、農業現場で求められる双方の効果が「こちらを立てるとあちらが立たない」状況になります。
ところが「スキーポン」は、高温耐性と乾燥耐性のどちらの効果も向上するということで、素直にすごいと思いました。また、気候変動で農地が高温や乾燥にさらされているなか、スキーポンが食糧問題の解決に与えるインパクトの大きさから、その意義を感じました。
そして、「スキーポン」で使われている酢酸の刺激により、植物ホルモンが植物体内で作られるという点から更に興味が湧くとともに、他の化学素材とは一線を画した高いポテンシャルがありそうだという印象を持ちました。
※注:植物ホルモンは、植物が環境変化に遭遇したとき、その情報を体内で伝達し、変化に適応する行動につなげる役目を担っている物質です。
―――入社していいなと思ったポイントはありますか。今後の抱負も教えてください。
中小企業ならではのスピード感や前例のない提案への反応の良さですね。
例えば、土壌の物性を測っていた時、通常の測定用具ではなく、コストを抑えられる道具を提案したところ、「確かにそれはいいね」と取り入れてくれました。「研究では普通、こういう道具・器具を使うものだ、使うべきだ」といった慣習にとらわれず、理が通っていれば、取り入れていくという柔軟さを感じました。
これからは、知財関連の知識や、商品開発研究での「良い商品」というユーザー評価に連動する測定項目の設計など、自分のキャリアで得た知見を、アクプランタやスキーポンの開発にも役立てることができたらと思っています。