【報告】スキーポン@アメリカ中西部
大規模農業で得た「宿題」
見渡す限りのコーン畑=カンザス州
6月、金社長を始め、4人のメンバーが二手に分かれ、アメリカ中西部の4州(アイオワ、イリノイ、ネブラスカ、カンザス)を5日間で回りました。
今回の出張の目的は、コーン栽培でのスキーポンの効果を確かめること。そこで穀物栽培が盛んな中西部で、現地の大学の研究機関や農業資材代理店、農業協同組合、農家と連携し、試験圃場や農家の畑で、スキーポンを散布をいくつかのパターンで試しながら、コーンの生育の様子を見ることにしました。
機械化、自動化が進み、効率よく肥料や水を散布する機器が活躍しています
干ばつ被害が相次ぐアメリカ中西部
アクプランタでは、2年ほど前からカリフォルニア州の研究機関や森林局などと協力し、同州の内陸部や山間部で、スキーポンを使った野菜や樹木の生育試験を重ねてきましたが、今回、コーンに着目した理由は2つあります。
ひとつはコーンなどの穀物は生産量が多く、その分市場も大きいこと。もうひとつは、主要産地のアメリカ中西部で、気候変動の影響で干ばつ被害が相次いでいることです。今回の出張でも、アイオワ州の農家さんが「今年は本当に乾燥がひどい。もう9日間雨が降っていない。例年なら腰から胸の高さに育っているはずのコーンが、今年は腰にも届いていない」と、教えてくれました。
現地では、大きく分けて3つの方法で試験しました。
①量を加減しながら作物の根元に散布する
②根元に散布せず、量を加減しながら葉っぱの表面に散布する(葉面散布)
③スキーポンを混ぜた液体化学肥料を畝と畝の間に散布する
①の試験の様子。推奨量のスキーポンを散布したパターン(上段)
農家のオペレーションにあわせ、量を絞って根元に散布したパターン(下段)
①はアメリカの土壌で育つ穀物に、そもそもスキーポンが効果があるのかを確かめるためです。数カ所の畑で、量を加減しながら実施してもらいました。私たちが現地入りする2週間ほど前、①の方法でコーンの根元にたっぷり散布した農家のコーンは、干ばつ続きでもしっかりと育っていることが現地で確認できました=下写真。
スキーポンを散布していない区画のコーン3本(左・白い線)と①の方法でスキーポンを散布した区画のコーン3本(右・黄色い線)の生育を比較。スキーポンを散布した区画の方が、根の発達がよく、草の丈も高くなっていることが確認できました。
大規模農業のオペレーションにあわせて試験
では、大規模農業のオペレーションにあわせた散布方法では効果はあるのかー。それを見るために行ったのが、②と③の方法です。
②の試験で、スプレーヤ―でコーン畑に散布している様子(上段)
③の試験は、液体化学肥料と混ぜたスキーポンを、サイドドレッサー(下段左)で畝と畝の間に撒いた(下段右)
スキーポンは本来、作物の根元に一定量を直接散布することで高い効果が得られます。一方、広大な農地で効率性を追求する大規模農業のオペレーションでは、根元に直接散布する作業自体が存在しません。散布量を増やすと、自動散布機器の稼働量もその分増えます。農家のインタビューなどから、現実的な方法ではなさそうだ、と分かってきました。
そこで農家と話し合いながら、今のオペレーションのかたちにあわせたスキーポンの散布方法を模索し、②と③の方法で散布してみました。しかし、この方法では、スキーポンがコーンの根元に十分行き渡らないことが見て分かりました。
「スキーポンが効果を発揮してくれるのが楽しみです」。研究機関や農家の方々から声をかけてもらいながらの試験でした。広大な農地で、効率と効果の両方を実現する散布方法は何か。アメリカの大規模農業のオペレーションに直に関わったことで、新たな「宿題」ができました。
試験に参加してくださった方々と