【プレスリリース】JA東京あおば今夏の猛暑対策を強化
「高温・乾燥障害」から農作物を守る
新技術バイオスティミュラント資材
練馬区内農家の野菜栽培で使用開始

2023年7月10日

JA東京あおば

アクプランタ株式会社

 

気象庁の3カ月予報(6月20日発表)によると、2023年7〜9月の気温は、全国的に平年より高いことが予想され、高温障害などによる農作物の影響が懸念されています。東京都内でも近年、気候変動や都市部のヒートアイランド現象の影響で猛暑が続き、作物の生育の遅れや枯死、品質低下などの「高温障害」が発生。収穫量の減少や出荷の遅れが顕在化しているほか、高温下での農作業を減らすための効率化も求められています。

JA東京あおば石神井地区アグリセンター(東京都練馬区)は、昨夏の猛暑による管内農作物の高温障害事例(※)を教訓に、今夏の作物栽培の高温・乾燥対策を強化。その一環で5月から、管内の野菜農家の畑で、アクプランタ(東京都文京区)が開発したバイオスティミュラント資材「スキーポンアグリ」(※※)の使用を始めています。

具体的には次の通りです。

・9月までの高温期のトマトやサツマイモ、ネギなどの栽培で、苗を畑に植え替える「定植」の際にスキーポンアグリを使用

・8農家の協力を得て、スキーポンアグリを使用した作物と、従来の方法で栽培した作物の生育を比較する試験を実施

梅雨明け後の7月中旬、同JA、アクプランタ、農家の3者が集まり、スキーポンアグリを散布した作物の生育状況や収量の結果の確認・ヒアリングを行います。

 

 

(※)JA東京あおば石神井地区アグリセンターの高温・乾燥対策の経緯

都市農業のPRと天下泰平・五穀豊穣の祈願を目的に、東京都内のJAでは、農業関連の記念日や行事にあわせ、地場産野菜を載せた宝船を作り、明治神宮に奉納しています。昨年、JA東京あおばの石神井地区青壮年部は「都市農業の日」(2022年11月2日)に明治神宮での宝船の製作と奉納を担当しました。

しかし昨夏の猛暑で、農作物の発芽の遅れや減少、枯死といった「高温障害」の被害が各地で広がるなか、奉納用のハクサイも同様に「高温障害」に見舞われ、必要な量を確保するのがギリギリの状態になりました。この件などを機に、高温対策の強化と収量の安定に向け、同JAの営農指導員が今年からスキーポンの散布を農家に呼びかけ、実践を始めました。

 

(※※)「バイオスティミュラント」と「スキーポンアグリ」

バイオスティミュラントは、「生物」(バイオ)と「stimulant」(刺激剤)を組み合わせた呼称で、農薬、肥料、土壌改良資材など、従来の農業対策に次ぐ技術です。植物が本来持つ作用を刺激することで、気候や土壌からのストレスやダメージへの耐性を高めます。「スキーポンアグリ」は、酢酸(酢の主成分)の作用を活用したバイオスティミュラント資材です。酢酸の作用で、植物の乾燥や高温への耐性を高めることで、収量や品質の維持、節水につなげます。

 

JA東京あおばについて

正・准組合員数計27,316名(2023年3月現在)。東京都板橋区・北区・豊島区・練馬区を管内とし、営農指導・信用・共済・購買・販売・宅地等供給の各事業を行う。管内農家ではキャベツをはじめ、ダイコンやブロッコリーなど露地野菜を中心に多品目が栽培されているほか、花き、果樹、植木、盆栽も生産されています。営業店舗は板橋区・練馬区に信用・共済店舗を13支店、地区アグリセンターを4店舗、販売(農産物直売所)店舗を4カ所設置しています。

 

 

アクプランタ株式会社について

創業者・CEO代表取締役社長の金鍾明が、理化学研究所の研究員だった2017年、学術誌「Nature Plants」に発表した、植物の乾燥耐性を高める酢酸の作用を活用したバイオスティミュラント資材「スキーポン」を開発したアグリバイオスタートアップです。気候変動や減農薬・減化学肥料の需要の高まりを背景に、国外では米国やウガンダなど14カ国で、スキーポンによる高温・乾燥対策の実証実験に取り組んでいます。国内ではJAふじ伊豆(静岡県)、群馬、愛知、和歌山の各県農業試験場、全国各地の農家、農業グループ、企業などと取り組んでいます。第6回 アグリテックグランプリ最優秀賞/第1回JAアクセラレーター優秀賞/AgriFood SBIRピッチ2023ビジネス構想最優秀賞など、受賞多数。