小柴ハカセの栽培日記「今年の自社農園を振り返る」
スキーポンの効能を実証するためにアクプランタが借りている「鎌田農園」(東京都府中市)。今年で2年目になりました。主担当の弊社特別研究員、小柴共一さん。もともと都立大教授として、主に、植物ホルモン、植物の環境応答に関する研究に取り組んでいました。この1年の格闘を振り返ってもらいます。
鎌田農園は、弊社が地元農家の鎌田さんから、2023年6月からお借りしている200平方メートルの畑です。室内の実験だけではわからないことを探るために、屋外で栽培できる場所を探しているところ、ある企業のご紹介でお借りできることになりました。
今シーズンは5月ごろから作物の栽培を開始、これまでに育てた作物は、トマト、デントコーン、ダイズ、枝豆、ジャガイモの計5野菜になります。これから海外市場に進出するにあたり、ユーザーに使いたいと思っていただけるような重点作物の栽培比較データを蓄積するのが狙いです。
社員一同、かわるがわる畑に行きましたが、一番頻繁に通っていたのが小柴さん。自宅が近いのもあって、最低でも週2日、夏はほぼ毎日通いました。
農作物の栽培実験をするためには、なるべく生育具合が均一でないと比較がむずかしくなります。ですが、実際は栽培畝の場所によって生育にばらつきがあったり、同じ畝でも個体の生育差が出たりと、なかなか揃えることができませんでした。
栽培中のデントコーン
頭を抱える小柴さん。どうすればいいのか悩み、畑のオーナーである鎌田さんからの助言も受けながら、なるべく生育が揃うように育てられるように頑張りました。畝の数を増やしたり、スキーポンを使った作物とそうでない作物の配置を変えたり、実験回数を増やしたり。バリエーションを増やすことで生育がそろう機会を確保しようとしたのです。
そして収穫の時期を迎えました。デントコーンは1株当たりの実の数を調べたり、実1本あたりの重さや、乾燥させた実からとった種の粒数と重さを計測しているところまで細かく調べています。
収穫した枝豆から小柴さんが作った、ポタージュスープ。おいしそうです
「正直なところ、実験作物によっては虫や暑さにやられて悲惨な状況になっているものもあります。でも、やり方がうまくいってよく育った作物だと、計測作業も楽しいんですよね。今年の枝豆は昨年よりずっとよく育っていて、よだれが出てしまいました」と小柴さん。
7ー8月は、200平米の畑を100%使って、作物をたくさん栽培していましたが、10月末になると収穫の大半が終わり、栽培は全体の5分の1程度。大豆(下写真・左)とデントコーン、ジャガイモ(下写真・右)が残っているだけです。
「去年は土の養分や水分の不均一があったり、肥料のやり方などに課題もあって、育ちのばらつきが大きく、満足に比較できるデータをあまり手に入れることができませんでした。でも今年は、育ちのバラツキがある程度にとどまり、比較できるだけのデータが手に入りそうです」と小柴さん。
「屋外での栽培実験は、たいてい開始してしばらくは安定させるのに苦労します。今後は、栽培実験が安定しているところの取り組みを参考にしながら、来年はもっと精度の高いデータが得られる畑に育てていきたいと思います」と話してくださいました。