金CEOに聞く、研究がコアバリューのアクプランタ

「スキーポン」の開発を通じて、現場の課題解決と社会貢献を目指してきたアクプランタは、2025年で創業8周年を迎えました。この間、公的機関との連携や国内外でのプロジェクトを通じて、多くの成果を上げてきました。今回は、これまでの歩み、技術が描く未来、そして仲間への期待について、金鍾明・CEO代表取締役社長が語ります。

 

2024年を振り返る

アクプランタは、私の研究アイデアが社会でどのように受け入れられるのか、それを広げられるのかを実証するために始めた会社です。2024年を振り返ると、ようやくその輪郭がはっきりと見えてきたと感じています。

 

公的助成金や補助金を活用した実験や、コンペ・講演での受賞、さらには資金調達の成功など、多くの方々から評価をいただける機会に恵まれた一年でした。

 

また、つながりも大きく広がりました。たとえば、国際協力機構(JICA)、経済産業省、農林水産省、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などとの連携を通じて、社会貢献への道がさらに広がりました。特に、JICAの「中小企業・SDGsビジネス支援事業」では、ウガンダ共和国でスキーポンの製品登録プロジェクトが始動しました。現地での実証実験では良い結果が出ており、政府や関係機関との交渉も順調に進んでいます。

 

ウガンダ共和国の小規模農家から現地の農法についてヒアリングする金CEO(左端)

 

現場に行くことの重要性も改めて実感しました。スキーポンの効果を最大化するためには、現地の気候や農法に合わせた作物別の使い方を見極める必要があります。現場で見て、体験することで、農家の皆さんに「使いたい」と思っていただける形に調整していくことが求められていると改めて感じています。

 

スキーポンの国内外での信用度や認知度をさらに高め、新技術の開発にも挑戦していきたいと考えています。その際、常に「社会貢献ができる技術か」を問い続けます。そして、会社や事業の拡大も目指しています。

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カルチャー

スキーポンは、私にとって今もなお「研究対象」です。社内に研究チームを持ち、科学的根拠に基づいた農業資材の研究開発を続けています。実証実験で予想通りの結果が出ないこともありますが、だからといって「失敗」とは考えません。むしろ、新たな問いが生まれる貴重な瞬間なのです。「こういう結果が出たということは、こういう可能性があるかもしれない」と考えを深め、「なぜなのか」「どうすればいいのか」をみんなで議論しながら研究開発を進めています。

 

私たちにとってスキーポンは「売れればよい」だけのものではありません。サイエンス(科学)を楽しみ、そこから新しい発見を得ていく。それがアクプランタのカルチャーともいえるものです。

 

エチオピアのアジスアベバで開かれた「飢餓のない世界会議」(国連工業開発機関(UNIDO)、アフリカ連合委員会(AUC)、エチオピア政府共催)に登壇する金CEO

 

共に働く仲間を求めて


いま、私たちが求めている仲間は、2つのイメージを持っています。

 

1つめは、スキーポンを広めてくれる人。国外はもちろん、日本国内でも、地域や作物ごとにスキーポンの使い方や疑問点は多種多様です。だからこそ、農業の現場や農家さんとのコミュニケーションを熟知し、現場の声を私たちにフィードバックしてくれる人が必要です。まだアプローチできていない地域や作物も多くあります。

 

2つめは、研究や開発に熱量高く取り組んでくれる人。自分でたてた仮説をもとに、先の見えない研究でも粘り強く研究を進め、新しい技術を発見し、この会社の可能性を広げてくれる人が必要です。

 

どちらにおいても、私たちのビジョンに共感し、苦楽を共にしながら、一緒にスキーポンを成長させられる情熱を持った仲間を求めています。