【社員インタビュー】生物学領域の研究者から、民間企業で社会実装に挑戦

本記事では、研究職としてアクプランタに入社した、平井理作(ひらい・りさく)を紹介します。日本の大学・大学院と、ベルギーの研究機関で植物の細胞に関する研究員として研鑽を積んだ後、自分の研究と社会を繋げたいと考え、アクプランタに参画してくれました。今回のインタビューを通して、平井の人となりやアクプランタについて知っていただければ幸いです。

 

アクプランタとは?

社長の金が、理化学研究所の研究員時代に発見した研究成果をもとに、植物の乾燥・高温耐性を強化するバイオスティミュラント資材*1『Skeepon(スキーポン)シリーズ』を開発・販売している会社です。

 

プロフィール

東京理科大学基礎工学部を卒業後、奈良先端科学技術大学院大学で道管細胞分化の研究を行い博士号を取得。ベルギー・VIB-UGent Plant Systems Biologyで博士研究員として側部根冠におけるプログラム細胞死の制御メカニズムの研究を行う。帰国後はアクプランタ社の研究員として酢酸が植物の乾燥耐性を誘導するメカニズムの研究に携わる。

 


―――これまでの経緯を教えてください。

植物に興味を持ったのは、中学生くらいです。生物学を学ぶうち、動かない植物という生き物が、環境にどのように適応していくのかを見ていくのが面白いと思いました。もっと幼いころを振り返ると、原っぱに寝転がったり、植物を眺めたりすることが好きな子どもでした。

 

大学時代には、植物が根から養分や水を吸い上げる際に、道管を使って輸送する仕組みを主に研究していました。道管は、植物がわざわざ細胞を殺して作り上げる器官なのですが、なぜ細胞を殺してまで作るのかと不思議に思いました。学べば学ぶほど、神秘的だと感じました。そのまま、この分野で博士号を取得しました。

 

その後、この分野を独走していたベルギーの研究室に移り、ポスドクとして4年ほど所属しました。この時は、道管ではなく、根にフィールドを移し、細胞死についての研究をつづけました。この4年間は、研究所に集まった世界各国の優秀な研究者とともに切磋琢磨しあい、大変有意義な時間だったと思います。

 

6月、東京大学で開かれたアクプランタ主催の国際シンポジウムで、参加者を出迎える平井さん(中央)

ーーーアクプランタに興味を持った理由は何ですか。

植物は、乾燥ストレスを受けると、道管の細胞死を増やすことで、より水を吸い上げようとすることが解明されています。金さんは、酢酸などの成分から細胞死を減らす、制御するという研究をしているという話を聞き、互いに、違う視点から同じ現象について研究していることを金さんの論文から知ったことで、興味を持ちました。

 

ポスドクの後、民間企業への就職を考えました。自分の興味関心を満たすアカデミアの研究から、自分の研究を社会に結びつけることをやりたいという思いが出てきたからです。植物に関する仕事がしたいという希望を人材エージェントに伝えました。たまたま紹介してもらったのが、アクプランタです。調べてみると、研究職でかつ、これまでの研究テーマに近く、興味関心のある分野での募集だったので応募しました。

 

わたしは金代表と同じ、理学の中の生物学領域の出身で、研究領域は違いますが、エピジェネティクスの領域では同じ言語で議論ができる。でも、自分の視点だけでは農業という領域では使えない。でもアクプランタには、理学ではなく農学の専門家もいて、それぞれの専門性を活かして、互いにシナジーで先に進めることができる。こうした環境は面白いと感じました。

 


ーーー入社して1か月経ちましたが、どんな業務に取り組んできましたか。

1、2週間目は、金さんの話を聞きながら、これまでの自分の研究と照らし合わせる作業をしました。3週間目には、米国に出張し、フィールド調査に参加しました。4週間目には、シンポジウムの準備の中でウガンダ事業の関係者と議論しました。その後、横浜・鶴見の研究所の立ち上げをサポートし、先輩研究者からこれまでの研究を引き継ぎました。

 

現在は、アクプランタでの業務に慣れるため、実際に研究をサポートするほか、自分が考えたアイデアで研究に着手もしています。

 

ーーーアクプランタの印象を教えてください。

自分の考えをすぐに具現化できる職場だと感じています。アイデアや提案次第で研究を進められるので、裁量権はとても高いです。

 

入社後3週間目のシンポジウムでは、ウガンダの大使と急に話すことになり、びっくりしました。日々の業務の中で、ジェットコースターに乗っているような感覚を味わっています。自分の幅を広げないと対応できないなと感じています。

 

ーーー最後に、今後の展望を教えてください。

自分の研究結果と社会がつながるところを見たいと思っているので、研究現場と農場をつなげて社会実装まで持っていきたいです。アクプランタは、それができる会社だと思っています。