【インタビュー】キャべツ、猛暑でも「水やり回数軽減」農家の声

「地球沸騰化」の夏が来ました。梅雨明け前から、全国的に35度を超える酷暑が続き、農作物の生育への影響が出ています。こんな時、乾燥、高温への耐性を高める「スキーポン」が役に立つはず。使って下さっているユーザーの声をご紹介します。

「吉田農場」(東京都練馬区)の吉田智博さんは、農場内で栽培する高糖度のキャベツにスキーポンを施用してくださっています。この夏も、8月中旬にセルトレイに幡種、9月下旬の移植を経て年内の収穫を予定します。

スキーポンを施用するのは、移植の2、3日前。水で500倍に希釈したスキーポンで、セルトレイの苗を灌注かどぶ付けで処理しています。「スキーポンを生育初期の段階で使うことで、根付きを安定させることができます」と吉田さん。

 

スキーポンを使う理由「水やり回数の軽減」

吉田さんがスキーポンを使う理由の一つが、水やり回数の軽減です。

キャベツのような苗で植える作物では、初期生育が大切とされています。植え付けてから水を十分与えることで活着します。いかに早く根付かせられるかで、その後の収穫物の生育状況・品質が揃うかが変わってしまうからです。ただ潅水施設のない畑では、タンクのようなものに水をためてトラックで運び、撒く、を繰りかさなければなりません。

一度十分与えた後は自然の雨に任せて生育させるのが普通です。ただ、雨が降らないと、葉っぱが枯れ、生育が遅れ、最終的に収穫の遅れにつながります。「4、5日遅れることもある」と吉田さん。市場価格が上がる時期を意識して栽培計画を立てたり、直売所への納品・販売のめどを立てたりしています。ところが、収穫が遅れると、計画通りにいかず、価格や取引で不利になることがあるのです。

しかし、スキーポンを使うと枯れる心配がないため、水やりの心配もしなくてすみます。吉田さんは、潅水チューブで水を与えているそうで、「水をやる時期は他にすることがあって忙しい時期でもあります。なので、1回くらい水やりを忘れても、スキーポンを使っていれば大丈夫というのは安心材料です」。

 

二つ目の理由。チップバーンを防ぐ

もう一つ、スキーポンを使う理由として、吉田さんは「チップバーンの防止目的」を挙げました。チップバーンとは、葉っぱの先端が焼けたように褐変してしまう現象で、こうなってしまったキャベツは出荷できないことがよくあります。

チップバーンは、乾燥状態が続き、植物が養分を十分吸収できない状況になることも一因とされています。そこで、スキーポンで植物の乾燥耐性をつけることで、養分を吸収できる状態を維持し、チップバーンを防ぐ効果が期待できるのです。

 

自分がスキーポンの「案内役」に

スキーポンは、2023年からJA全国農業協同組合連合会(全農)東京都本部が農家に配布している「農薬肥料注文書」の商品リストに掲載されるようになりました。知り合いの農家から「スキーポンはどうやって使うと効果が出るのか」と聞かれることが増えた、と吉田さんは言います。

「今後、雨が降らず、35度の高温が続くような、作物にとって脅威的な環境になった時、スキーポンの効果がさらに発揮されるのではないかと期待しています」

(終)